それはアニカマルでの出来事だった。
Veigue At Night
ス−ルズで生まれ育ったヴェイグは、ほとんど村を出ることなく今まで生きてきた。
そのせいか、暑さには体が慣れていない。
「はぁ・・・はぁ・・暑いな・・。」
アニーのデスガロ熱も治り、リブガロを追った疲れを癒すため、
取り合えずアニカマルの宿屋に泊まることにした。
それが、不幸の始まりだった。
夜。日中暑いのは日が出ているから分かるが、夜がこんなに暑く、
寝苦しい時間帯だとはヴェイグは思っていなかった。
疲れているのに、あまりに暑くて眠る事が出来ない。熱帯夜とはこのことだろうか。
そんな事を考えても、眠れるわけではない。
「・・窓でも開けるか・・・。」
ガラガラという音と共に、風が部屋に吹き込む。
「少しは涼しいな・・・。」
次の日に疲れを残さないためにも、早く寝なくてはならない。
何となく危険な感じはしたが、ヴェイグは窓を開けたまま眠る事にした。
だが、やはりなかなか寝付けない。
「はぁ・・はぁ・・・・」
と、突然・・・
ガコっガタガター
急に物音がしたと思うと、ヴェイグの足元のベットが軋んだ。
「誰だ?!」
ガバっと起き上がると、そこには見慣れた人物が。
「やぁヴェイグ。まだ起きてたんだねぇ・・v」
四星のサレだ。
「サレ・・!!・・何の用だ・・っ!!」
「やだなぁ・・ヴェイグに会いに来たんじゃないか。」
「はぁ・・はぁ・・今すぐ帰れ!!」
暑さと怒りでヴェイグの心拍数は上がる一方だ。
そんなヴェイグを見てサレは、
「そんなにハァハァしちゃって・・何だい?僕を誘ってるのかな・・ヴェイグ・・・?」
そう言うと同時に、サレの体がヴェイグの上に移動し、手が首筋に伸びてくる。
「・・なっ、サレ・・何をする気だ・・・!!」
「何だと思う、ヴェイグ・・?」
サレの手がヴェイグの服の下へ入り込む。と、
コンコンー
「あの・・ヴェイグさん。まだ起きてますか・・・?」
聞き覚えのある声、アニーだ。
「な・・何だ、アニー?」
取り合えず応答してみる。
まさか部屋にサレがいるとは思ってないアニーは、入ってもいいですか?と切り替えした。
「えっ・・ちょっと・・待ってくれアニー・・。」
「え・・あ、はい。」
「すまない・・・・。」
とは言ったものの、サレが退くとも思えない。
寧ろ、この展開を喜んで迎え入れてるのではないだろうか。
サレの顔を見ると、案の定口元がにやけていた。あきらかに楽しんでいる。
「サレ・・今日は退いてくれないか・・。」
「何だよヴェイグ・・これからじゃないか・・・。それとも、僕よりあの子の方が大事なのかな・・・?」
「どうでもいいだろう、そんな事・・・!」
「うーん・・そうだねぇ・・・じゃぁ、キスしてくれたら、『今日は』退いてあげるよ。」
サレはどう見ても楽しんでいる。
自分からキスなんて、恥ずかしくて出来るはずがない。
だが、此処でこのままだと、みんなに自分とサレの事がバレてしまう。
恥じ<信頼・・だ。
ヴェイグはグイっとサレの襟元を引き寄せ、強引に口付けした。
サレは少し驚いたようだったが、すぐにいつもの調子を取り戻し、スルっと舌を送り込んだ。
ヴェイグは突然の侵入者に抵抗したが、すぐ引き寄せられ、絡み合う。
ヴェイグはサレに翻弄され、軽く嫌らしい音をたてた後、サレのお試しは終わった。
「合格だよヴェイグ。約束通り、『今日は』退いてあげるよ。」
「・・・・・・。」
「ご馳走様ヴェイグ。今日の続きはまた今度・・・v」
サレはそう言い残し、窓から出て行った。
「すまないアニー、もういいぞ。」
サレが帰ったのを確認してから声を掛けたが、返事が無い。
可笑しいと思って扉を開けてみると、アニーは壁に寄りかかったまま眠ってしまっていた。
病み上がりなのだし、無理も無い。
ヴェイグはアニーをそっと担ぎ上げ、部屋まで運んでいった。
スヤスヤと眠るアニーを見て、悪い事をしたな、という思いと同時に、早く寝なくてはという焦りが生じる。
今日の疲れはとれそうにないな、そんな事を思いながら、ヴェイグの夜は更けていった。
次の日、ヴェイグの目元にくまがあったのは、言うまでもなかったー・・・
Fin.
*初サレヴェイです。アニカマルネタはいつか使いたいなぁと思ってたんですv(ありきたりですが)
て・・展開が早過ぎる・・・orz
なんか普通のサレヴェイが書きたかったんですけど・・(普通って何だ)
タイトルは何となく夜っぽくて語呂が良かったので、あんまり・・ツッコまないで下さい。(汗)英語苦手なもので;