人は死んだら
星になるんだよ。
それで、きっと悲しんでる人を
ずっと
ずっと
お空から見守ってるの・・。
-*星*-
顔を撫でる風が、氷のように冷たい。
吐く息は白く、手はかじかむ。
そんな寒い夜のある日、とある丘の上に彼らはいた。
ヴェイグは座り込み、じっと空を見ている。
「ヴェイグ。」
そんな彼に声を掛けたのはティトレイだった。
「こんな所にいたら風邪ひくぞ?」
「・・あぁ、そうだな。」
でも、今日は空を見ていたかった。
何故なら今日は、彼の命日だから・・
サレが死んだのは、今からちょうど1年前だ。
生かしておいたはずのサレが血を流して死んでいたあの映像は、今でもたまに夢に出てくる。
「・・サレか?」
察しの良いティトレイが尋ねた。
「・・・あぁ。」
ティトレイはやっぱりか、と苦笑いを浮かべる。
「小さい頃、クレアに聞いたんだ。死んだ人間は星になるって・・。そして、ずっと寂しがってる人を見守ってる・・だから・・」
まだクレアの家に引き取られたばかりで、両親を亡くした寂しさに耐えられなかった頃、ヴェイグにクレアが教えてくれた。
「きっとサレも・・空から見てると思うんだ・・・。」
「だから星を見てるのか。」
「あぁ・・。」
こうして星を眺めていると、サレの声が聞こえてくるような気がする。
あれからもう1年たったのにまだ鮮明に残るサレとの記憶。
愛し合った時間は、そう簡単には消えない。
「まだ・・悲しいのか?」
「・・・・・」
「否定・・しないんだな。」
ティトレイの問に俯くヴェイグ。
確かにまだ悲しいけれど、そんな弱音を吐きたくなかった。
大丈夫。
明日になれば、もういつもの自分。
でも今日だけは
サレとの思い出に浸って
今日のうちに
悲しむだけ悲しんでおきたい。
1年分悲しんで、明日からはまた頑張って生きていく。
「まぁ悲しいんなら悲しいって言ってくれて構わないけどな。簡単には・・忘れられないよな。」
「・・そうだな。」
人は死んだら
星になるんだよ。
それで、きっと悲しんでる人を
ずっと
ずっと
お空から見守ってるの・・。
ずっと見てるから、安心して。
だから泣かないでって、そう言ってるんだよ。
ずっとずっと大好きだよって、だからもう泣かないで・・ヴェイグ。
「おいヴェイグ、流れ星だぞ!」
ふと空を見上げると、ティトレイの言う通り流れ星が1つ。
ああ・・サレは見ている。
自分の事を見ている。
ヴェイグの目から、堪えていた涙が溢れた。
「・・綺麗な星だな、ヴェイグ。」
大丈夫。
明日になればもう、泣かないから。
「・・・あぁ、本当に綺麗だ・・・。」
Fin.
*あとがき*
以前運営していた携帯サイトでキリ番踏んでくださったみのる様のリク文です。
星をイメージしたサレヴェイ。との事でした。
携帯サイトでのキリリクだったので、此処に載せても良いかなぁ・・と思いまして。
えっと、私は攻めキャラが死んで受けキャラが悲しむという設定が大好きなんですよ・・!(何故力説)
そして実はティトレイは密かにヴェイグが好き、みたいな裏設定があって複雑なのが凄く好きなn・・(はいはい)
最近シリアスばっかりなんで、ちょっとギャグが書きたくなってきました・・(笑)