どうしてかな、涙が止まらないよ・・・。




大好きだヨ。



「マオ・・?」


青い髪に、青い瞳。
ヴェイグが心配そうにこっちを見ている。


赤い髪に、赤い瞳。
ボクが泣いている。


いつも明るく振る舞っているけれど、悲しくて泣きたいときだってあるんだ。
ボクは、皆を照らす、炎でいたいから。
だからたまに、我慢したりする時もあるけど、でもやっぱり悲しい時は悲しいんだ。

まさか、それをヴェイグに見られるとは思ってなかったけどネ・・。


涙を流して蹲るボクに、心配そうにヴェイグが近寄る。
ヴェイグの前だけでは、泣かないって決めてたのに・・。


「マオ・・・どうしたんだ?どこか痛いのか・・?」



本当は凄く痛いんだ・・。



「ううん、ただ笑ってるのに疲れただけだヨ・・。」
「ムリして笑わなくても良いんだぞ・・?」




「何言ってるんだよ、ヴェイグ・・。ヴェイグが笑わないからボクが代わりに笑ってあげてるんでしょ?」



ボクの存在する理由を考えた時、
なんだか答えが見つからなかったんだ。
それが悲しくて、寂しくて、怖くて。
気が付いたら泣いてたんだ。


なんて事、ヴェイグに言えるはずもなくって・・・。




「マオ・・一人で抱え込むのは良くないぞ・・・。」
「抱え込んでなんて・・ないってば・・・。」
「そうか・・・?」

意外に鋭いことを言うもんだから、何も言い返せない。
ちょっと黙ってみた。
当分止まりそうにない涙を、これ以上見られたくなかった。
もしかしたら、その内何処かへ行ってくれるかもしれない・・・。


何処かへ・・・。


ヤバい、余計涙が止まらなくなったかもしれない。


ずっと黙っていた。
一言も喋らず、じっと動かずに。

なのに、

ヴェイグは動かない。


どんなに黙っても、 ヴェイグはボクの側から離れない。



「どうして・・・?」

耐え切れずに口を開いた。

「どうして・・ずっと此処にいるの・・ヴェイグ・・・?」



こんな所にいたって、何も面白くないはずなのに。
ただ泣いてる子供が目の前にいるだけ。


俯いたまま返事を待つと、ヴェイグが口を開いた。





「俺は・・マオが心配なんだ。だから、ずっとマオの側にいる・・・。」

「ずっと・・・?」



その言葉を聞いたら、ふっと肩の荷が下りた気がした。

ボクは怖いんだ。
誰かに置き去りにされるのが。
ひとりぼっちは嫌なんだ・・・。


ああ、やっぱりヴェイグは優しい・・・。


そっと、ヴェイグに抱きついた。
ヴェイグが優しく抱き返す。


涙が止まらない。
でも、それは悲しいからじゃなくて嬉しいから・・。






「マオ・・何で泣いていたんだ・・・?」



「・・ヴェイグが泣かないから・・・代わりに泣いてあげてるんだヨ・・・?」



そうか、有難う。ヴェイグはそう小さく呟いた。


ボクは炎だから、だからヴェイグの心の氷だって溶かせるはずだよネ・・?
ヴェイグの氷が、ボクの炎を助けてくれたんだから・・。



「ヴェイグ・・・」

「・・・?」







「大好きだヨ・・・。」







そっと重ねたヴェイグの唇は、やっぱり冷たかった・・・。





FIN.




*マオヴェイと言い張ってみる。(ぇ)
マオはまだ幼いから、時々こんなこともあったりしてほしいな・・なんて。